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2018/12/02

今週の読書紹介(2018/11/26~2018/12/02)『人がうごくコンテンツのつくり方』『0秒経営 組織の機動力を限界まで高める「超高速PDCA」の回し方』


今週(2018/11/26~2018/12/02)からは次の 2 冊を紹介。


髙瀬敦也『人がうごくコンテンツのつくり方』クロスメディア・パブリッシング、2018. ( amazonで見る )

世の中のものすべてコンテンツ、という考え方は本当にそうだと思っていて、それってそもそもの認識論、言語による分節化、道具的用法というところと軌を一にしているのですよね。段ボールミカン箱は、人によってはミカンを入れる容れ物であるけれど、人によっては勉強机である。とか、人によっては祖先を供養し拝むべき石碑だけれど、人によっては単なる路傍の石にすぎない。とか。そういう。

いかにして、ただのモノを、コンテンツに昇華することができるのか。そのメソッドのいくつかを、先に挙げたような思考を背景にして、テレビ局に在席していた著者が、紹介してくれるという一冊になります。

とりわけ「言い換え/置き換え」というのはかなり応用範囲の広く効くものだろうなと思いました。面白い例がいくつかありましたが、うち一つとしては、グレープフルーツのことを「イエローメガみかん」と言ってしまうと、途端に「何だ何だ?」と食べてみたくなってしまうような。

ビジネス展開/サービス開発をする上では、人を惹きつけるために、やはり「ネーミング」「キャッチコピー」など、ことばに頼らざるを得ません。もちろん、本書内に書かれていたように、それだけでなくて視覚的インパクト(名前は覚えてもらえなくても「あの、赤い金髪のやつが出てるCM」のようにぼんやりと覚えてもらえるための仕掛け)も必要になりますが、その先、定着させるためには、ことばの力が絶大です。そのことを改めて考えさせられました。


星﨑尚彦『0秒経営 組織の機動力を限界まで高める「超高速PDCA」の回し方』KADOKAWA、2018. ( amazonで見る )

明日倒産するともわからなかったメガネスーパーを驚異的なまでに V 字回復させた現社長さんによる、立て直しの背景にある考え方紹介、という本です。

とはいえ単なる表層的な経営論が述べられているだけというわけでもなく、具体的なメソッドとしても、以下のようなものが挙げられています。


  • 「何もかもを全て腹落ちさせるまで話し合う」という 10 時間ミーティングを毎週月曜に実施
  • それを全社員が見られるように、中継 & アーカイブ公開
  • 社長自身が現場感覚を得るために、全国の店舗を渡り歩く(電話も自分で取るし、ポスティングも自分でするし)

これだけ見ると、社員愛に溢れ愚直なまでに泥臭いことをやっている昭和風な社長という印象を受けられるかもしれませんが、徹底的に数字を見ながら経営の嗅覚を養うため、そして、社員一人一人に経営者の考えを納得させるためにやっている、ということです。

また、

  • 社員の本音を聞き出すためであれば何でもする
  • 社員に動いてもらうためには「いいからやれ」でなく、腹落ちして自らが動き出すように仕向けていくしかない
ということで、むしろ次世代型経営の一端が垣間見えると思います。ここまで力を尽くしておいて、 V 字回復できたのは自分の力ではなくて、社員全員の力だと言いきれるのが、カッコイイ。

  • 他のメガネ屋と異なる差別化をするために自分達の最大の強味である「アイケア( eye care )」を謳って高品質高価格という路線に切り替えた
というのが、回復においての最大の理由であると考えられますが、これを実現するためにどれだけの現場改革がおこなわれなければならなかったことか。これを 3 ~ 4 年ちょっとでやってしまったのが凄くて、勇気づけられました。

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