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2018/09/17

今週の読書紹介(2018/09/10~2018/09/16)『フランス女子の東京銭湯めぐり』『ホーキング、最後に語る』『世界の路地裏を歩いて見つけた「憧れのニッポン」』


急に秋めいた気候になってきたと思ったら、また夏日が戻ってきたりという、寒暖差激しい今週(2018/09/10~2018/09/16)からは次の 3 冊を紹介。


ステファニー・コロイン『フランス女子の東京銭湯めぐり』GB、2018. ( amazon で見る)

最近、銭湯がますます好きになってまして、何かよい穴場ないかなーと思って手にしてみた一冊。穴場が見つかったわけではありませんが(人気のところばかり!)しかし何とも魅力的なところ揃い。熱々の江戸っ子風呂、さらりとした地下水の透明湯~東京ならではの天然黒湯、 1 万冊以上の漫画読み放題の休憩所つき、女子向けのファンタジックな内装などなど……

銭湯って、行ってみると「あとちょっと広かったら」とか「あとちょっと休憩場所があったら」とかそういうのがあるし、WEB サイトが必ずしも充実していて写真豊富というわけでもないので、こういう本で下調べをするのも良いですね。

あ、フランス女子の入浴写真があるわけではありません、悪しからず。


スティーブン・W・ホーキング/トーマス・ハートッホ/佐藤勝彦/白水徹也、松井信彦訳『ホーキング、最後に語る 多宇宙をめぐる博士のメッセージ』早川書房、2018. ( amazon で見る)

未公開論文とかがない限りは、ホーキング最後の論文ですね。寂しいですね。「最後に語る」とあるのですが、インタビュー形式ではなく、最終論文である「永久インフレーションからの滑らかな離脱?」が収められているだけですので、いつものホーキングによる一般向けの優しい語り口のものではまったくありません。論文については至って難易度高く、専門で理論物理やっていない限りは、その手前に掲載されている解説を見ないと要旨以外サッパリ分からないかと思います。

最終論文以外であるところの、佐藤勝彦によるホーキング略伝と、白水徹也による最終論文に至るまでの足跡を込んだ解説文と、そして、最終論文の共著者であるハートッホのインタビューとは、比較すると平易なので、ページ数も少ないことも手伝って、ホーキング入門の一冊としても手堅いものに仕上がっているように感じられました。

宇宙が永久にインフレーションしていく、というのは、わりかし人口に膾炙した見方となっていると思うのですが、ホーキング=ハートッホ説によると、そういうわけにはいかないということらしいです。

さて、アインシュタイン以来の理論物理学者と云われたホーキング亡き今、量子重力理論の未来はどこにあるのか。ホーキングが育ててきたたくさんの若い芽が花開くのか。今後とも楽しみな分野です。


早坂隆『世界の路地裏を歩いて見つけた「憧れのニッポン」』PHP新書、2018. ( amazon で見る)

著者が若い頃( 2000年前後 )に歩いて回った東欧~中東、それから、最近特に専門的に取り扱っている戦時中日本に関わる東~東南アジア地域について、ルーマニアのマンホールの中をはじめ、戦時中のイラク、内戦前のシリア、太平洋戦争の爪痕残るサイパンなど、あちらこちらにある「日本人の知らない現地人の見る日本」を書き残してくれています。

迂闊にも最近よくある「ニッポンスゲー礼賛」な感じでは全くありません。タイトルからして「ニッポン」という、何というか、何だろう、となる曰くありげな表現を使って煽っている感があるあたり、著者の意図せざる編集者の勝手なるものが覗き見えてしまいます。が、それで敬遠するには、ちと勿体ないような事柄が並んでいます。先にも挙げたようなルーマニアのマンホールの中で「日本に行って働きたい」とつぶやく少年も、まだ戦争の激しくなかったイラクにおいて「日本人なのにグレンダイザーを見てないのかよ!?」とつっこんでくる青年も、まだこの同じ第三惑星地球において息をしているんだろうか、と想いを馳せてしまうくらいには得るものがあります。

やはりというか、東欧~中欧についての章と、東~東南アジアエリアについての章とでは、本人の意識ないところで熱量が違うように感じられました。後者についてがやはり「近い」からなのでしょうね。私はどちらかというと前者の方が読んでいて興が乗ったのですが、それでも、杉原千畝ばかりでなく樋口季一郎について、忘れてはならない! という著者からのメッセージは重く受け止められました。

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