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2018/09/25

今週の読書紹介(2018/09/17~2018/09/23)『時をあやつる遺伝子』『世界一変な火山』


豪雨激しい今週(2018/09/17~2018/09/23)からは次の 2 冊を紹介。

松本顕『時をあやつる遺伝子』岩波科学ライブラリー、2018. ( amazon で見る )

「時をあやつる遺伝子」って、めっちゃ厨二心を揺さぶられるフレーズですよね。時計遺伝子 ( clock gene ) のことなのですが、ものは云いよう。

さて、本書は時計遺伝子の解説書……というよりかは、時計遺伝子研究史です! 一般書でここまで同時代研究者としての観点もまじえた研究史、それでいてコンパクトに語られているというのは珍しいです。以下、引用します。

「時計遺伝子の研究史をたどりながら、そこで繰り広げられた激しい競争も描くことなら、それを傍で見守り、ときに当事者となり、そしてみごとな負けっぷりを晒してきた私にこそ伝えられる内容に思えた。競争は、ある意味で研究のダークサイド。しかしそれは時計遺伝子研究の発展と不可分だった。この本に、岩波科学ライブラリーの他の書籍とは毛色の違う、少しハードでスリリングな翳りがあるとしたら、そんなところに理由があるかもしれない。」( 本書 p.130 )


山本睦徳『世界一変な火山 知床硫黄山ひとり探査記』サンライズ出版、2018. ( amazon で見る )

「山腹から大量の硫黄がどろどろと流れる、そんな火山は知床硫黄山以外に世界のどこにもない。」 ( 本書 p.180 )

そんな知床硫黄山との出会いから、外国語学部卒という生粋の火山研究シロウトな科学ライターの著者がついには世界的に有名な Journal of Volcanology and Geothermal Research という科学雑誌に論文を発表するに至るまでを、そしてそのちょっと先のお話までを描いた、壮大な、でも至って個人的な、知床硫黄山愛に溢れる一冊。

数千円~数万円程度の研究道具でも、情熱×ニッチな分野という掛け合わせでここまでの成果を出せるという稀有な例です。別にお金をかけないことが美徳であるというつもりはありませんが。何事も、気軽に始めてみるに越したことはないですね。

全ページフルカラーで、写真たっぷり。ついつい、知床に足を運んでしまいたくなることでしょう。もし知床硫黄山に行く場合は十分にお気をつけください。著者も、本気で何度も死にかけていて、本当に、運が良かったというほかないくらいのエピソードが披露されています。

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